クレジットカードの付帯保険と火災保険は重複する?賢い使い分けと注意点

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住まいを守る火災保険と、日々の買い物や旅行で活用するクレジットカード。実は、クレジットカードに付帯している保険の中には、火災保険の補償範囲と重なるリスクをカバーするものがあることをご存じでしょうか。「二重に保険料を払っていないか」「どちらに請求するのが得なのか」と悩む方も少なくありません。
本記事では、クレジットカードに付帯する保険と火災保険の補償範囲における重複の有無や、万が一の際の優先順位、そして保険金を適切に受け取るためのポイントを詳しく解説します。
目次
1.火災保険とクレジットカード付帯保険の根本的な違い
2.補償範囲が重複しやすい具体的なケース
3.重複した場合の保険金請求における3つの注意点
4.実際の事例:どちらの保険を優先すべきか?
5.業界団体や政府機関による補償調整の考え方
6.まとめ:生活基盤を守るための賢い備え方
火災保険とクレジットカード付帯保険の根本的な違い
まず、両者の保険が「何を対象にしているか」を整理しましょう。
- 火災保険の役割
火災保険は、建物や家財を対象とした「住まいの総合保険」です。火災、落雷、爆発だけでなく、台風による風災や豪雨による水災、さらには盗難や家財の破損・汚損まで幅広くカバーします。生活の基盤となる資産を守るためのものです。 - クレジットカード付帯保険の役割
クレジットカードに付帯している保険は、主にカードの利用に関連して発生する損害を補償します。旅行中の事故をカバーする旅行傷害保険や、カードで購入した商品が壊れた際のショッピング保険(お買い物安心保険)などが代表的です。あくまでカード利用者に付随するサービスという性質を持っています。
補償範囲が重複しやすい具体的なケース
基本的には対象が異なる両者ですが、特定の状況下では補償が重複、あるいは補完し合う関係になります。
家財の損害(ショッピング保険との重複)
例えば、クレジットカードで決済して購入したばかりの高級家電が、火災や落雷で壊れてしまった場合です。
- 火災保険:家財として補償されます。
- カード付帯のショッピング保険:購入後90日〜180日といった一定期間内であれば、破損や盗難に対して補償が受けられます。
個人賠償責任補償
他人に怪我をさせたり、他人の物を壊したりした際の賠償をカバーする特約です。これは火災保険に特約として付けている場合と、ゴールドカード以上のクレジットカードに付帯している場合があり、非常に重複しやすい項目です。
重複した場合の保険金請求における3つの注意点
補償が重なっているからといって、両方から満額を受け取れるわけではありません。
- 利得禁止の原則(二重請求の不可)
損害保険には、実際の損害額を超えて保険金を受け取ることはできないという原則があります。10万円の損害に対し、火災保険から10万円、カード保険から10万円の計20万円を受け取ることはできません。 - 先に火災保険を確認するのが一般的
住居内で発生した家財の損害であれば、まずは火災保険の契約内容を確認するのがスムーズです。火災保険には免責金額(自己負担額)が設定されていることが多いため、その自己負担分をカードのショッピング保険でカバーできるか検討する、といった使い分けも検討されます。 - 保険会社間の按分(あんぶん)調整
複数の保険に加入していることを申告すると、保険会社同士で支払額を調整することがあります。意図的な隠匿はトラブルの元になるため、正しく申告することが推奨されます。
実際の事例:どちらの保険を優先すべきか?
ケーススタディとして、旅行中に自宅が火災に遭った場合と、旅行先で家財(カメラ等)を壊した場合を考えてみましょう。
- 自宅の火災:これはクレジットカードの旅行傷害保険の対象外であり、火災保険でのみ補償されます。
- 旅行先での携行品損害:通常の火災保険(建物・家財のみ)では、家から持ち出した物品の外出先での損害は対象外となることが多いです。この場合、クレジットカードに付帯する海外・国内旅行傷害保険が大きな役割を果たします。
このように、一見似ていても「どこで起きたか」「いつ買ったか」によって、適用される保険が明確に分かれるのが特徴です。
業界団体や政府機関による補償調整の考え方
一般社団法人日本損害保険協会や金融庁などの政府機関の指針では、消費者が適切な補償を受けられるよう、契約時の説明義務や補償の重複に関する情報提供を求めています。
特に複数の保険契約がある場合、保険会社はガイドラインに基づき、合算して損害額を補償する仕組みを整えています。消費者は「どちらが主たる補償か」を理解し、自己負担を最小限に抑えられる組み合わせを把握しておくことが、賢いリスク管理に繋がります。
まとめ:生活基盤を守るための賢い備え方
火災保険とクレジットカードの付帯保険は、一部で重複するものの、実際にはお互いの弱点を補い合う「補完関係」にあります。住まい全体の大きなリスクは火災保険で備え、個別の買い物や旅行中の一時的なリスクはクレジットカードの付帯保険でカバーするという使い分けが理想的です。
特に自然災害による損害などは、火災保険の契約内容次第で受け取れる保険金が大きく変わります。いざという時に「補償対象外だった」と後悔しないよう、定期的な見直しを行いましょう。
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執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/3