火災保険や地震保険の給付金に税金はかかる?確定申告の要否と注意点を徹底解説

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火災や地震などの不測の事態で被害を受けた際、保険金(給付金)は生活再建の大きな支えとなります。しかし、まとまった金額を受け取った後に多くの方が不安に思うのが、「このお金に税金はかかるのか?」「確定申告は必要なのか?」という点です。
せっかく受け取った保険金も、税務処理を誤ると後々のトラブルになりかねません。本記事では、火災保険・地震保険の給付金に関する税務処理の基本を専門的な視点を交えて分かりやすく解説します。
目次
1.災害時の給付金にかかる税務処理の基本
2.火災保険・地震保険の給付金が「原則非課税」とされる理由
3.注意!確定申告や課税対象となる4つの例外ケース
4.損害を受けた時に活用したい「雑損控除」の手続き
5.給付金を受け取った後に確認すべきポイント
6.まとめ:適切な税務判断で安心な生活再建を
災害時の給付金にかかる税務処理の基本
火災、落雷、風水害、あるいは地震などの自然災害によって損害を被り、保険会社から支払いを受ける給付金は、受け取った側にとっては一時的な大きな収入に見えます。しかし、税務上の扱いは一般的な所得とは大きく異なります。
結論から申し上げますと、個人が受け取る火災保険や地震保険の給付金は、確定申告が不要な「非課税所得」となるのが一般的です。これは国税庁の規定により、身体の傷害や資産の損害を補填するために受け取る給付金は課税しないと定められているためです。
火災保険・地震保険の給付金が「原則非課税」とされる理由
なぜ所得税や贈与税がかからないのか。その理由は、給付金が「利益」ではなく「マイナスの補填」であると考えられているからです。
- 所得税の考え方:給付金は、壊れた自宅や家財を元の状態に戻すための「実損填補」です。資産がマイナスになった分をゼロに戻すためのお金であり、持ち主が儲かったわけではないため、所得税は課されません。
- 贈与税の考え方:自分自身が契約者(または生計を一にする親族が契約者)である保険から受け取る給付金は、対価を支払って得た正当な権利であるため、贈与には該当しません。
このように、地震保険給付金についても、居住用の建物や家財に関するものであれば、基本的には税金を心配する必要はありません。
注意!確定申告や課税対象となる4つの例外ケース
原則非課税ではありますが、状況によっては課税対象となり、確定申告が必要になる場合があります。以下のケースに該当しないかチェックしてください。
- 修理を行わず現金として保有し、利益が出た場合
給付金を受け取ったものの修理に充てず、その金額が実損額を大きく上回り、実質的な利益(一時所得)とみなされる特殊なケースでは注意が必要です。 - 給付金が実際の損害額を上回った場合
受け取った金額が損害額をカバーするだけでなく、結果として手元に利益が残るような過剰な支払いとなった場合、その差額分は一時所得として申告が必要になる可能性があります。 - 事業用資産(店舗・事務所・賃貸物件)に対する補償
事業に使用している建物や設備、あるいは商品(棚卸資産)に対して受け取った給付金は、事業所得の総収入金額に算入する必要があります。その代わり、修理費用や廃棄損などは経費として計上することになります。 - 積立型火災保険の満期返戻金や解約返戻金
掛け捨てではなく積立型の保険で、満期時に返戻金を受け取る場合、支払った保険料総額を差し引いた利益部分は「一時所得」となり、金額によっては確定申告が必要です。
損害を受けた時に活用したい「雑損控除」の手続き
災害による損害が大きく、給付金だけでは修理費用が賄いきれなかった場合には、確定申告を行うことで「雑損控除」を受けられる可能性があります。これは、災害等によって資産に損害を受けた場合に、所得金額から一定額を差し引いて税負担を軽減できる制度です。
控除額の計算は以下のいずれか多い方の金額となります。
- (損害金額 + 災害関連支出 - 給付金等) - (総所得金額等 × 10%)
- (災害関連支出 - 給付金等) - 5万円
※災害関連支出とは、壊れた建物の取り壊し費用や土砂の除去費用などを指します。この控除を受けるには、確定申告書に損害の状況を記し、領収書等の証明書類を添付する必要があります。
給付金を受け取った後に確認すべきポイント
火災保険給付金に関する確定申告の必要性を判断するために、以下の項目を整理しておきましょう。
- 対象物は何か:個人の住宅・家財か、それとも店舗や賃貸用物件か。
- 受け取った金額と修理費のバランス:修理に全額充てたか、手元に大幅に余ったか。
- 保険の種類:掛け捨てか、積立型か。
- 領収書の保管:修理にかかった費用の領収書や、保険会社から届く支払通知書は大切に保管してください。
もし判断に迷う場合や、事業用資産が絡む複雑なケースでは、所轄の税務署や税理士へ相談することをお勧めします。
まとめ:適切な税務判断で安心な生活再建を
火災保険・地震保険の給付金に関する確定申告や税務処理は、多くの場合で「非課税」となりますが、事業用途や積立型などの例外があることを忘れてはいけません。正しい知識を持って対処することで、災害後の生活再建をよりスムーズに進めることができます。
また、給付金の申請そのものが複雑で、本来受け取れるはずの補償を見落としているケースも少なくありません。申請漏れを防ぎ、適切な補償を受けることも税務と同じくらい重要です。
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執筆者:ファイナンシャルプランナー 信太 明
掲載日:2025/10/23